さとるんくんの突飛な言葉に顔を横に振る。
笑いながら言ってくるけど、私はそれどころではない。
興奮気味に…いや、興奮していた。だから、少し声が大きくなっていた。
レイターズのメンバーは、みんなニコニコしている。なんでそんな感じなの?え、こういうことってよくあることなの?
頭がパニックになっていると、さいばくんがしんちゃんに声をかけた。
しんちゃんはずっと下を向いていて、感情が読み取れない。
しんちゃんの言うことも分かるけど、でも……
私が迷っていると、そんなことを言われてしまった。
さとるんくんに、勘違いされたくなくて、慌てすぎて、言葉にならなかった。
むしろ、逆なんです。レイターズが、さとるんくんのことが、好きだから。好きな人の家とか、恥ずかしすぎるんです。
そんなこと言えなくて、
小さな声で確認した。
そんなこんなで、大阪に来たら、好きな人と会って、好きな人の家に行くことになりました。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。