「あ、鏡子、今日は久々に学校行くよ」
「了解☆頑張ってね!」
と鏡子に一言告げると、私は下へ降りた。
ここ何日かは、ずっと鏡子を学校行かせていた。鏡子が受けた中間テストを見ると、かなり私の取りそうな点数(まぁまぁいい方だよ)を取っていてびっくりした。脳も一緒なのかな?
さすがに少しは学校に行かないとマズい。今週は必ず行く事に決めた。
「行ってきます」
私の行っている高校はとても近くて、3分位で着く。だから考え事をしている暇もない。あっという間に学校についた。上履きに履き替えて教室に行くと、質問攻めにされた。
「ねぇ奈子、何で昨日来なかったの?遊ぶ約束したじゃん!」
「え、昨日遊ぶ約束してたのは私だよ!?」
「私もだよ?」
え、どういうこと・・・?どうやら鏡子は多重に約束していたみたいだった。
「ごめんね、急に予定が入って・・・」
「俺昨日奈子がゲーセンにいるの見たぞ」
「ハァ?奈子、約束をほっぽり出してゲーセンにいたの!?」
「最低・・・」
「え、私そんなこと・・・」
出ていけよ、という声がクラス全体から聞こえる。私はもうイヤになって教室を飛び出した。
なんで、なんで?どうして私がこんな目に合わなきゃいけないの・・・?
家につくと、一目散に鏡子を探した。
「あれ、帰ってきてたの、どうしたの・・・」
鏡子の言葉を遮って思いっきり叫んだ
「どういうこと!? 友達と多重計画を結んで、ゲームセンターにいたの!?私みんなに最低だって、出ていけって言われたんだよ!?ねぇ・・・」
「私は言われたことをやっただけ。友達関係が面倒くさいんでしょ?だからもう関わらなくていい様にしたんだよ?」
「お願いだから・・・私の存在を返してよ!?」
「生憎様だけどこっちはこっち随分居心地がよくてさぁ・・・、あなたの居場所がここにはないこと、もう分かってるんでしょ?奪われたんなら奪えばいいじゃん、今度はあんたの番だよ♪」
「私も同じように、ある日突然目の前に自分の分身が現れて、私の存在を奪われたの。だから私もあなたの存在を奪った。だから今度はあなたの番!」
「じゃ~ね~、奈、子、ちゃん♪」
こんなことって・・・そうだ、なんで前から気づかなかったんだろう?
いつか必ず、辻褄が合わなくなる事を・・・
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。