その後、先生と私は警察に事情聴取をされることになった。
わたしの場合、発見者として、少し危害を与えられただけだからすぐに警察に通うことはなくなったが、
先生は事件の被害者となったため、
暫く忙しいようで、
学校に数日間来なかった。
先生がいない学校。
もう先生を助けることを考えなくてもいい授業。
考えてみればまぁ普通のことなのに、
なぜだか普通じゃないような学校に感じた。
…
それから数日後、
ようやく先生が学校に復帰した。
「ツッキーよかったね!」
と、何も知らない優香は私を励ましてくれた。
このことは…大きな騒動にならないように、
あまり口外しをしないようにと学校から言われている。
先生が今学校に来てないのは、
ただの家の都合ということにしておくこと…と。
確かに噂になったりでもしたら、
先生もいい迷惑だろう。
それから3日くらい過ごしたのだが、
あの事件が終わってからあの時みたいに、
先生と私が近距離で話すことはなくなった。
たまに先生と目が合うこともあるが、
お互いなんとも言えない表情になり、
ゆっくりと逸らしてしまう。
そんな日が続いた。
……勿論、数学準備室へ行くこともなくなった。
先生の未来を救えた。
_____先生は今もこの場所に存在している。
それだけで嬉しいはずなのに、
胸がもやもやするのは…
やっぱり先生が好きだからだと思う。
このもやもやがいつまでも続くのは苦しい…
だから、今日…。
最後に数学準備室へ行こうと思う。
_____自分の気持ちにけじめをつけるために。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。