第16話

16. ねぇ、先生。
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2018/01/09 04:50










…久々の数学準備室だな、なんて。

何しに来たとか言われて突き放されたらどうしよう。
…そう思うと少し怖い。



それでも、このままは嫌だから…。





数学準備室の前のドアに立つ。

緊張して、
このままやっぱり諦めちゃおうかという気持ちもある。




…でもそれじゃダメだ。




ガラララ




勇気をだして数学準備室のドアを開ける。




「せ、先生いますか…?」




先生がいるかどうか、周りを見渡してみる。

……先生は、
あの時のようにこの教室にいた。




私の姿に気づいたのか、
先生はこっちをみて、
少しため息をついた。



_____あぁ、やっぱり来ちゃダメだったんだ。



そう思った時、
先生は私に向けて


「……待ってたんだけど?」


と一言言った。

「えっ…」

予想外の返事に間抜けな声を出してしまう。


……先生が私を…待ってた?

先生が少しずつ私に近づいてくる。


「…あの事件が終わってから、南雲はここに来なくなったし…目が合っても逸らされるし…、あぁ、本当に南雲は俺を助けるだけのつもりで、俺に気なんてなかったんだな、ってもう諦めかけてた…でも。」


先生が私の腕を掴み、ぐっと先生の方に引き寄せた。

「えっ…あ、先生…」

先生との距離の近さに、思わず顔が赤くなってしまう。


「ここに来たってことは…期待していいってことか…?それとも…最後のお別れを言いに来たのか?」



そういうと先生が真剣な眼差しで私を見てきた。

そ、その言い方だと……
先生がまるで私を好きみたいな言い方…。


「それ…じゃ…先生が私を好きみたい……」

と、ボソリと呟くと、
先生は私の目を見たまま

「俺は…南雲のこと好きだよ、立場としてダメなのは分かってる…。それでも…真剣に俺を助けようとしてくれた…南雲のこと忘れられない」

と言ってきた。


…ドキッと胸が高鳴る。

嘘……じゃあ、私と先生は…両思いってこと?

嬉しくて涙が出そうになるのをぐっとこらえる。




「……南雲はどうなの?」



先生が私の方を見て優しく微笑む。


それは勿論……


「……私も好きです…。好きだから…先生を絶対に助けたいと思った…」


自分の言った言葉に顔が赤くなる。

でも……この気持ちに嘘はない。



そういった瞬間、先生は私をぎゅっと抱きしめた。


「ん…嬉しい」

「卒業するまでは、ここでこうしたりすることしかできないし…、メールとか電話も少ししかできないかもしれない…、満足出来ない恋になるかもしれないけどそれでもいいのか?」



と、先生は不安そうな声で私に聞いていた。

__________私が好きなのは先生。

例え、普通の恋ができなくても、
先生と結ばれるだけで…私は嬉しい。


「私は…先生の傍にいれれば…それで幸せです」

「…ありがと」


先生は私を抱きしめる力を少し強める。






あの日何故私が過去に戻れたのかはわからない。
あの喫茶店は何だったのかも。


でも、あの出来事から…
積極的に何かをするようになったり、
自信を持てるようになったり、
色々と得たものがたくさんある。


今度先生が何か困ってたりしたら…
未来からじゃなくて、
隣で私は先生を助けるんだ。




_____ねぇ、先生。


「私、先生が大好きです。」


_____今度は隣で先生を助けます。













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