「なぁ、南雲。今日放課後カラオケいかね?」
「ごめん…今日はちょっと用が…」
「あー。そっか、わかった!また誘うな」
あれから、私の性格は少し変わったみたいで、
もうクラスの陰キャラではなく、
クラスでもみんなに認められる存在となった。
それで、今日もクラスメイトの男子から、
カラオケに誘われていた。
でも、私には放課後に行きたい所がある。
それは『 数学準備室 』…。
また、今日も。
いつものように数学準備室の扉を開ける。
ガラララ
「せ、先生少し遅れちゃいました…!」
「何かあったのか?」
「クラスの男子と少し話してたらカラオケに誘われて…」
「へー…浮気か?」
「ち、違います…!」
先生は拗ねた顔をしてる。
先生のどんな表情も…
私にはかっこよく見えてしまう。
「まー、南雲が他の男に惚れても過去に戻って俺がまた惚れ直させればいいだけなんだけどな!」
「そう簡単に過去に戻れないですって…きっとあの時も何か凄い偶然が重なり合って…」
「……きっと、南雲の俺を思う気持ちが運命を変えてくれたのかもな」
「……そうなのかもしれませんね、って本当に他の男の人に惚れてないし、先生だけですよ…!」
「…」
「せ、先生ぃ…」
「冗談だよ、俺も月姫だけだよ」
そう言って先生は私の頬にそっとキスをした。
あの事件が終わってからも、
私は数学準備室に通い続けている。
でも…今の目的は先生を助けるためではなく、
好きな人に会いたいから…だ。
これから先、お互いに何が起こるかわからない。
それでも、私は先生の隣にいて、
先生を守っていたい。
先生には私の隣にいて私を守っていてほしい。
_____もう過去に戻らなくてもいいように。
ねぇ、先生…。
大好き。
ねぇ、先生。 -END-
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。