第7話

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2018/01/09 11:41
………あれ、私、何言ってるんだろう。
なんかこれじゃあ、毎回リクが私を助けてくれてるみたいじゃん。
…リクのことがショック過ぎて、頭が混乱してんのかな。
「……ふふ」
口から自虐的な笑みが溢れる。
すると、激しい頭痛が私を襲った。
「……っ…う……あ……!」
痛い、痛い、痛い、痛い。
頭が割れそうなくらい痛い。
しかも、目の前がチカチカして……っ!
その瞬間、誰かの“記憶”が私のなかに流れ込んできた。
「……?これは……!」


幼馴染み同士だった男女が、互いに恋に落ちて。

片方が“お試しで恋人関係になる”という提案をして、もう片方もそれを了承して。

二人はどんどん相手を好きになっていって。

でも、ちょっとしたことがきっかけで喧嘩になって。

不慮の事故で片方が帰らぬ人に。

それを信じられなかったもう片方が、“時間が巻き戻って欲しい”と願った。


“誰の”なんて言わなくてもわかっている。
これは、“私の”記憶だ。
やっとわかった。
さっきの“何度も同じやり取りをした”ような違和感。
それは、私が何度も同じ時期を繰り返してきたから。
そして、その事を忘れていたから。
いつもいつもリクの死が信じられなくて、タイムスリップをしていたんだ。
でも、どんな時期に戻ったって、リクは必ず私を助けてくれて、それで何度もタイムスリップして・・・ー


「ごめんね、リク。いつもいつも私のこと助けてくれてたんだね。何度も凄い痛い思いしたよね。ごめんね……」


こんなことになるんだったら、もっと前から自分の気持ちを伝えていればよかった。
こんな思いになるんだったら、変な意地なんか張んないで素直になってれば良かった……!
後悔したってしきれない。
リクの冷たくなった手を握りしめる。
ただただ、リクが戻ってくるのを願いながら。

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