第8話

してあげられること
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2018/01/08 12:55
気持ちを伝えて、“今までの関係を解消”
……つまり、
坂野翔
付き合うってこと、だよな……
坂野翔
『よかったな、おめでとう!』
心にもないことを、美也へと送る。
高崎美也
高崎美也
『……先輩とは、付き合わないよ
関係だけ、解消したの』
坂野翔
『だって気持ち、伝えたって』
高崎美也
高崎美也
『伝えたよ、……好きって
好きだから、自由になってほしくて』
高崎美也
高崎美也
『先輩は、私との関係に苦しんでる』
だからって……!
今までの関係から抜け出した、好き同士なはずなのに、何で、恋人になるという選択肢がないんだ……

(素直に応援はできないけども……!)
正直、美也と写っていたあの先輩をみたとき、
お似合いだな、なんて悔しいけど、思った。
あの笑顔だけで、わかってしまうくらいに、
あの先輩は、美也が好きに違いなかった。
高崎美也
高崎美也
『私は、“後輩として”、先輩の応援をしようって、決めたの』
坂野翔
『それは本心?』
俺はちゃんと、美也を見てきたつもりだ。
メッセージのやり取りだけでも、嘘ってことくらい、見抜ける。
これは美也の“強がり”なんだ、と。
そして、必死に、泣くのを我慢してる姿も、想像できてしまう。
美也は強いんじゃない、
“強くあろうとするだけ”だ。

本当は誰より弱くて、脆くて、繊細なんだ。
坂野翔
『美也の、“本当の気持ちは”?』
高崎美也
高崎美也
『い、……私が、支えたい……!』
高崎美也
高崎美也
『でも、今の私じゃできない、から…
”ただの後輩”じゃできないから……』
高崎美也
高崎美也
『だけど、それでも……!
恋人としてじゃなくても、先輩の側にいたい……!』
坂野翔
『美也の気持ち、聞かせてくれてありがとう』
なら、俺ができることは、
“彼氏として”、最後に美也にしてあげられることは













美也と、別れてあげることだ。




坂野翔
『美也、月曜日、一緒に学校に行こう』
高崎美也
高崎美也
『え…?でも翔、学校反対方向……』
坂野翔
『確認したいことがあるんだ』

本当は、確認なんて、必要ない。


だけど俺には、その権利くらいあるはずだ。

















































































坂野翔
おはようございます
初めまして、坂野翔です
神谷和臣
神谷和臣
初めまして、神谷和臣です
高崎美也
高崎美也
(……なんで、こんなことに
…………き、気まずい……)
坂野翔
写真で見るより、生で見た方が、
やっぱかっこいいや!ね、美也
高崎美也
高崎美也
えっ、と……
坂野翔
男の俺から見てもイケメンだし!
“和臣先輩”ってモテますよね?!
神谷和臣
神谷和臣
いや、そんなことは……
坂野翔
彼女が羨ましいです!
こんなイケメンと付き合えるなんて!
高崎美也
高崎美也
ちょっと、翔……
神谷和臣
神谷和臣
彼女とは、別れて……しまって
坂野翔
おぉ!なら、美也なんてどうですか!
俺、和臣先輩と写ってる、美也を見たとき、思ったんです
坂野翔
“お似合いだな”って
坂野翔
それに、あの笑顔だけで、
伝わりました
“美也が大好き”って
神谷和臣
神谷和臣
…………
坂野翔
和臣先輩になら、美也を任せられるって
坂野翔
俺が彼氏として、“最後”に美也にしてあげれることです
坂野翔
お願いします、美也を幸せにしてあげてください
高崎美也
高崎美也
翔……
神谷和臣
神谷和臣
俺、は……
坂野翔
もし何か事情があるなら、すぐにとは言いません
坂野翔
けど、美也に気持ちがあるなら、恋人として、側にいてあげてください……!
神谷和臣
神谷和臣
…………わかった
神谷和臣
神谷和臣
今すぐにってわけにはいかないけど、ちゃんと美也ちゃんのこと考えるよ
神谷和臣
神谷和臣
翔くん、ありがとう
大丈夫だ、この人……和臣先輩になら、美也を任せられる。

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