第4話

担任・八槙(やまき)
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2018/01/05 23:03
会場の生徒は文字に置き換えられない驚きを感じたのか、ただおもむろに力強い拍手、よく響く拍手、音のこもる拍手など、多彩な音が聞こえたのは確かだった。

彼女の“挨拶”とはこのように堅苦しいものなのか、いやこれほどまでに美しいものなのか、と口に出てしまいそうになったのは生徒だけではない。
教師たちも固まるほどのものだった。

担任の先生、八槙先生やまきが彼女に近寄ってきた。

八槙は見た目からして低身長。150あるかないかのとても小さい人だ。

従って、なのだろうか。



胸はとてもなだらかだ…。



「珠咲ちゃん。ありがとねー!ほんと、ヨシとヒロとは違うしっかり者ねーっ!」 


ヨシとは、珠由(みよし)。
ヒロとは、珠広(みひろ)のことだ。
彼らはとても似た双子だ。
八槙は去年、珠咲の双子の兄、ヨシの方の担任だった。
昨年と一昨年はヒロの担任だった。 

「いいえー。兄は私より仕事が早いので…。」

謙虚なところがどこか可愛らしい。
彼女を目で追っていた者は、その姿に一人、彼女の今の表情だけをひたすら脳内で想像していた。

「それは2人合わせてだからねー。」

珠咲のボケには少し華がある。やはり、お嬢様らしいところが見える。

「止めてくださいよ?せんせ~。兄に勝ちどころがなくなってしまいます(笑)」

一応、正直者のようだ。

「そうだね…(汗)」

八槙と彼女の会話は周りから見ると“兄というつてで先生に気に入られようとしている”というようにも見えた。

だが、あの挨拶を聞いたからか、そのように思う人間はほんの一握りに過ぎなかった。

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