第8話

埃を被る部長
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2018/01/06 08:49
(あの春は面倒くさかったなぁ) 

そんなことを考える人とはみられなかった新入生代表挨拶。


あのように華々しい姿を見せた後、この様だ。


クラスでは一応、維持しているが、実際今の状態は限界にも近いものだ。
パーフェクト少女というのもなかなか難しいものである。

だが、唯一その着ぐるみから抜け出せる場所があった。
階段を下り、隣の棟へと向かう。
その棟の突き当たりにある教室。
旧1-9だ。今は違う。

きれいな扉。
旧1-9は、3年前に存在したクラスだ。
2年、3年の教室は少し広いが、1年の教室は全体的に狭い。
だから、臨時で1-9をつくったのだ。
一応きれいな教室だ。見た目は…。

今では部室になっている。

靡く黒髪。着こなす制服。彼女の美しい足取り。長い指が戸に手をかける。
珠咲(すざく)
こんにちは。───千樹先輩…?
千樹
こんにちはー!珠咲ちゃん。
珠咲(すざく)
どうしたんですか!?その服!
千樹先輩、三筆千樹(みふでせんじゅ)は彼女の部活の部長だ。

外見で言うと、可愛げのある、優しい先輩だ。
島ノ瀬だけでなく、他校でも有名、というか、ファンが多い。

((とくに女子ファンだ。))


内面は、色々な意味で凄いらしい。
千樹は何か大切なものを探しているようで、服が埃まみれだった。

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