第9話

恐るべし天然
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2018/01/07 17:06
珠咲(すざく)
…手伝いましょうか?
千樹
え!?御願いしていいかな?
珠咲(すざく)
大丈夫ですよ
千樹のワイシャツの袖には埃がくっついていた。どころではない。灰色に染まりつつあった。


きっと大切なものを探しているのだろう。

手伝うべきだと判断した。
千樹
この教室、全然掃除してないからなー。
珠咲(すざく)
えっ!?
珠咲(すざく)
(何で掃除してないんですかー?おかしいですよねww)
言いたかったが、取りあえずおさめた。

残念ながら、後にも引けず、結局手伝うことになった。
それから、5分たっだろうか。
はっと気づいた。
珠咲(すざく)
ところで、何も探しているんです?
あれだけ汚れるのなら、大切なものなのだろうという勝手な思い込みがいけなかったのだろうか。

千樹は3秒、いや、5秒ほど溜めてから、















千樹
─輪ゴムだよ♪



これが、大切なものと…。
((大層、安っぽいものですね!?))
というツッコミが出てきそうなほどだった。



私の聞き間違えかもしれないとばかりに、もう一度問う。
珠咲(すざく)
…輪ゴムですか?
千樹
うん?
やはり、返事は変わらない。

異常な期待からか、“輪ゴム”と聞いた瞬間、
この人は 阿呆なのだろうか? という疑問しかわかなかった。
珠咲(すざく)
…先輩、何に使うんです?
もう、この問いかけはあきれたどころか、諦めたといった方が似合っていた。




















こんな天然先輩の部長で大丈夫だろうか…。

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