第27話

錦鯉の紅い瞳
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2018/01/14 08:01
緩成
…お前、京とどういう関係なんだ?
千樹
(ヤバイ…!!だって、緩成くんは…)
万(よろず)
(千樹!止めないと…!!)
千樹
(万!それなら君が…!!)
万(よろず)
(僕には無理だ!)
千樹と万の目のやり取りは長かった。
珠咲(すざく)
え、京と?別に何も…
緩成
…どいつもこいつも面倒くせぇ奴。
千樹
えっと、話戻そうか?w
千樹
全中は珠算を主(メイン)とした
大会だ。
万がコクリと頷く。
万(よろず)
そうだね。
でもね…注意すべきは珠算じゃない。
珠咲(すざく)
どういうことですか…?
千樹
うん、全中で上位に入るには
暗算でどれだけ出来るかだ。
緩成
ですね。
珠咲(すざく)
でもそしたら千樹先輩…!!
万(よろず)
大丈夫だよ。
千樹は珠算が物凄く優れているから。
千樹が有名な理由。

彼を例えてこう言う。

“そろばんに水が流れている。水を泳ぐ魚のように指が優雅に動く”

彼は、川を操る鯉だ。

流れに沿って下りまた勢いよく上っていく。


でも、ただの鯉じゃない。


彼の紅い瞳。






────彼は、錦鯉だ。
千樹
そこまでじゃないよ。
ただ、僕を潰しにくる人間は
多いと思うよ。
緩成
…二校の部長たちですか。
珠咲(すざく)
…誰ですか?
万(よろず)
水野宮の川見万裕(かわみまひろ)
南立の桐上賀月(きりがみかづき)
だよ。
珠咲(すざく)
桐上賀月って、誇町さんの!?
緩成
何だ、桐上姉知ってんのか。
珠咲(すざく)
はい。よく家に来るので。
千樹
そうだね、賀月はともかくまっひーは
“徹底的に”来るだろうね。
まっひー…川見万裕のこと。
千樹の表情はニコニコしているわけではなく、
いつの間にかニヤケに変わっていた。

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