庵(いおり)
久しぶり、珠咲。
珠咲(すざく)
それはツッコめばいいのかしら?
庵(いおり)
そうしてくれると嬉しいね。
珠咲(すざく)
何が面白いのか分からないわ。
庵(いおり)
まあ、取りあえず腰掛けてよ。
珠咲は庵と向かい合うように座った。
そこにはもう1人、見覚えのある顔が居た。
珠咲(すざく)
こんばんは。
古賀家次期御当主、古賀庵様。…と、
公賀家次期御当主、公賀帝一様。
(くがていいち)
庵(いおり)
2回目の挨拶、どうもありがとう。
帝一
初めまして?でいいかな。
公賀帝一です。
存じております。
富貴家長女、富貴珠咲御令嬢。
珠咲(すざく)
ふふっ…貴方も家に従う犬ですか?
それなら古賀と同じ立ち位置ですね。
帝一
いいや…
僕は好きでココにいるので、
そんな家に従う犬なんて悪趣味は
持ち合わせていませんよ?
珠咲(すざく)
悪趣味ですか?
こそこそ隠れて監察しているのに…?
いい御身分ですこと。
帝一
言われてみればそうですね。
まぁ、僕が君に興味があるのは
正しいとしておこう。
珠咲(すざく)
あら?
開き直りが早いのですね。
帝一
君が言える立場かい?
三家の次期当主たちから釣られている
というのに。
珠咲(すざく)
えぇ。
誰とも婚約なんて致しませんから。
帝一
そんなことトップに聞かれたら
君は簡単に死ぬんだぞ?
珠咲(すざく)
あなたは何を言っているんです?
知らない人と婚約するぐらいなら
死んだ方がマシよ。
帝一
精々そうやって
胸を張って生きていればいい。
──いつか後悔するからな。
珠咲(すざく)
構わないわ。
公賀帝一は古賀庵の部屋を後にした。
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第32話 庵と2人きり…
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。