学校ごとの練習も終わり、待ち遠しかった休憩がやっと訪れた。
誇町は風呂敷を広げ3段の重箱を一つ一つ置いていく。
周りには、ヨシ、ヒロ、珠早、珠咲、千樹、万、暮七、緩成、それと…
桐上賀月と桐上誇町。
2人は姉弟だ。
呼び名はそのまま、桐上姉と桐上。
呼びやすいらしい。
賀月はとぼとぼと自分の席へ戻っていった。
「「「いただきまーーすっ」」」
5分もたてばその重箱は空っぽになっていた。
5人は自分の席に着席し、再びそろばんを弾く。
本気で勝つために。
島ノ瀬の列だけ緊張感が漂い、静に呼吸していた。
誇町、珠由、珠広、珠早は5人の背中しか見えないが、彼らが今、どんな表情をして戦いに行こうとしているのかは見えなくても見えていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!