馬鹿にした口調で挑発をしているのは、南陽日立中学校2年の真伊島勇気(まいじまゆうき)だ。
試合中に輪ゴムを付けて参加という変わったスタイルの少年だ。
彼の腕には沢山の輪ゴムが通っていた。
千樹は他校の部長に挨拶周りに走っている。
団体戦…珠算界ではだいたい3人、又は5人で1チームが基本だ。
順番をそれぞれ決め、後ろに並んで席に座る。
一問解いたら後ろへ回し、一問解いたら後ろへ回し、の繰り返しだ。
そして、ラストの人がプリントを挙げて終了といった簡単なものだ。
だが、珠咲の所属している珠算部は知っている限り三筆千樹、御商道万、和染緩成と自分を含め4人のみ。
全中は5人で1チーム。
どう考えても1名足りないのだ。
珠咲にまた変わった新しい先輩が出来たのだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。