「泣かないでよ御影...私、あなたと会えて...本当に...毎日が幸せだったわ...」
「僕もだよ...」
二人して涙を流していた。
色白で、枝のように細い瑠璃子は、庭の桔梗に埋もれながら優しく微笑んでいた。
「あのね御影...私がいなくても...頑張るのよ...御影なら...大丈夫だから......」
「うん...頑張るよ...」
爽やかな風が吹いた。
「そろそろ...終わりかな...御影...元気で...」
「瑠璃子...愛してるよ...」
「うん、私も...愛してるわ...」
瑠璃子は静かに目を閉じた。
「瑠璃子...瑠璃子?......ありがとう」
そういった御影は、泣いていたけど、優しく笑っていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。