あれから私は2日後に退院した。
川に流されてからどうやら3日間、目を覚まさなかったらしい。
お母さんは自分のせいで私が川に流されたと自分を責めて大変だったと、後でお父さんに聞いた。
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「愛!朝ごはんはー?」
「もう時間ないー!パンだけ食べる!」
今日は受験の日。
退院後、私は必死に勉強した。
勿論、息抜きもしながら。
お母さんはあれから私のことを必要以上に心配しなくなった。
私から助けを求めたときだけ、全力で助けようという考えに変わったらしい。
私は急いでパンを食べ、荷物を確認し、玄関に向かう。
玄関を開けると、いつもより朝日が眩しく感じる。
ヨシっ!と小さく呟き、玄関から一歩踏み出そうとしたとき、大事なことを忘れてたのに気付き、振り返る。
「お母さん!行ってきます!」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!