第2話
織姫と彦星
ピピピ ピピピ ピピピ
耳障りな目覚まし時計の音に目を覚ます。
この夢を見るのももう何度目の事だろうか。
ここ最近毎日同じ夢を見る。
夢の中で何をするわけでもなく10年以上前のある日の出来事を全く同じように毎日繰り返すだけ。
枕元の充電器に接続していたスマホを取り検索してみる。
カーテンも開けず、電気も消したままでただ外からの朝日が微かに差し込む薄暗い部屋で一人つぶやく。
前のページを開いたまま、新しいタブを開き検索をかける。
なんだか、こむずかしい言葉が羅列されていて頭が痛くなりそうだったからなんとなく読んでタブを閉じた。
多分、嫌なことが起こった時に体が嫌だ~って思う反応のことだろう。まぁ、とりあえずそういうことにしておこう。
ベッドから真正面に見える壁に掛けられたカレンダーが指す日付は7.7。七夕だ。
琴座のベガと鷲座のアルタイル。
いわゆる、織姫星と彦星である。
7月7日は、織姫様と彦星様が1年にたった1度だけ会える日。
そんな七夕の日に、日本中の人々は、短冊に書いたお願い事を笹の木にかける。
自分の今の向上を願う人。将来の夢を願う人。いろんな人がいる。
なんて、世間の人々はいう。
でも、一年に一度会えるなんてあたしからしてみれば羨ましいぐらい。
一年に一度必ず会えるって分かっていればその日のために、折れそうな日も、ダメになりそうな日も頑張れるから……