第10話

207
2018/01/05 19:03
拓斗
どれ乗る?
私の半歩前を歩くたっくんが振り向いて尋ねる。
拓斗
どうせお前ビビりだからお化け屋敷入れないもんな笑
そう、たっくんの言う通り私はお化けが大の苦手である。でも、10年以上にいったほんの一言を覚えててくれたことが嬉しかった。
たっくんのたった一言とか、少しの行動で、笑顔になったり、悲しくなったり、恋ってこんなに忙しい感情だなんて知らなかった。
恋をすると女の子は、欲張りになるという。
初めは見るだけで満足出来てたのが、話したくなって、触れたくなって……恋はそんなものだという。
でも、触れることは私にはできない。
だから、たっくんの近くで一喜一憂することが私の精一杯の欲張り。
あなた

うーん。あれがいい!

ジェットコースターの横にあるものを指さす。
拓斗
あれは、ゴーカート??……って小学生かよ!
私のチョイスに思わずたっくんが吹き出す。
あなた

もー!笑わないでよ!
良いじゃん!ゴーカート!

拓斗
はいはい。しょうがないからガキに付き合ってやるよ。
おひとり様なのに、二人用のゴーカートを選択した私に好奇の視線を向けるキャストの方をスルーして出発する。

プリ小説オーディオドラマ