私の半歩前を歩くたっくんが振り向いて尋ねる。
そう、たっくんの言う通り私はお化けが大の苦手である。でも、10年以上にいったほんの一言を覚えててくれたことが嬉しかった。
たっくんのたった一言とか、少しの行動で、笑顔になったり、悲しくなったり、恋ってこんなに忙しい感情だなんて知らなかった。
恋をすると女の子は、欲張りになるという。
初めは見るだけで満足出来てたのが、話したくなって、触れたくなって……恋はそんなものだという。
でも、触れることは私にはできない。
だから、たっくんの近くで一喜一憂することが私の精一杯の欲張り。
ジェットコースターの横にあるものを指さす。
私のチョイスに思わずたっくんが吹き出す。
おひとり様なのに、二人用のゴーカートを選択した私に好奇の視線を向けるキャストの方をスルーして出発する。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。