第11話
叶うことのない未来予想図
横の席で私以上にはしゃぐたっくんに皮肉混じりで言葉を返す。
思わず "安い幸せ"なんて皮肉な言い方してしまったけど、自分の考えてたこと見透かされたかと思って驚いたってのが口が裂けても言えないけどホントの話。
もし……もしも、ほんとのカップルだったなら、ドライブデートしたのかな……。
こないだ見た雑誌に載ってた、あの綺麗な海、たっくんと行って、Instagramで流行ってるカップル画像とか撮ってみたかった。
そして、将来は結婚して……子宝にも恵まれて……子供何人かな。
たっくんに似て、爽やかで背が高くてスポーツできる男の子と……たっくんみたいに目が大きくて顔の小さいかわいい女の子……絶対可愛いだろうな~……。
頭の中で、 叶うことのない未来予想図 を思い描く。
たっくんの声で頭の中の妄想もすべて吹っ飛んだ。
反論しようと思ったのに、思ってたことは言葉にならなかった。
死んだら人って、他人の心の中でも見える能力でもつくのだろうか。
それとも、たっくんがエスパーにでもなったのだろうか。
エスパー神木……はは。
想像しただけで面白すぎてつい吹き出す。
超能力でも、エスパー神木でも、なんでもいい。
今こうやってたっくんと模擬ドライブデート出来てるから私は幸せ。
そうこうしてるうちに、あっという間に模擬ドライブデートはゴールした。
5分あるかないかぐらいの時間だったけど何よりも幸せな5分間。
どん兵衛作ってる時のワクワクの5分とはまた違った幸せな感じ。
たっくんも笑ってる……胸の奥が小さく音を立てた。