私の表情や姿を見て察したのかたっくんは何も聞かない。
タイムスリップしたのに二回目でも救えなかったことに失望されるかと思った。だけどたっくんは晴れ晴れしい笑顔で笑う。
その上に、私はタイムスリップした記憶さえ消そうとしていた……なのに何でたっくんは失望もせずにそんなに笑顔で笑ってくれるんだろう……
道の真ん中だったけどたっくんの言葉で心がむず痒くなって思わず半べそで抱きつく。
誰かの言葉で心がむず痒くなったことなんて無かった。これが嬉しいって感情なのかもしれない。これが恋という素晴らしい感情なのかもしれない。
人類が生まれて何億年になるか分からない。だけれども、『恋』という感情は人類ができたその日からずっと人間の傍にいつも寄り添ってきた。
何もかもが変わったっていつだって『恋』は必ず人間のそばにいた。
先祖様。先祖様が味わい続けてきた『恋』という不思議な感情、私にも分かりました。
恋患いはどんな病気より重くて治す方法がない病だけど、どんなものより幸せで、自分自身を成長させてくれる病です!
何年先でも、この感情が変わらず人間とともに成長していくことを私は願ってます。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。