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第1話

この季節
140
2018/01/06 01:32
4月9日…
キュッ、キュッ、バシン、
「ラストー!ナイスキー!」
「智紗都ナイッサー!」
この体育館。私は好きだ。
今から智紗都がたくさんサービスエース決めるんだろうなとか思った時も別に嫌いじゃない。
バン、
「速攻くるよ!」
バシン、
「春奈ナイスカット!」
「レフトオープン」
バコン!
『ナイスキー智紗都!』
皆口々にそうゆう。智紗都は私の親友だ。

私達は傍先(はたさき)高校女子バレーボール部。
3年主将 菅野 智紗都 ws
3年 塩崎 春奈 Li
あとは2年だ。3年はこの二人だけ。1年生が何人入部してくれるか私はとても楽しみだった。

「スパイク練習!」
『はい!』
バシン、バシン、バシ、バシ、バシン…
体育館はバレーコート2面分ある。隣のコートから聞こえてくるボールの音に集中を妨げられる。いや、隣のコートにいるあいつに。でもきっと私の声なんてひとつも聞こえてない。どんなに大きな声で叫んでもきっと。まるでコートとコートのあいだになにか高い壁でもあって全く別の空間みたいに。でも、それでいいんだ。私はプレーに集中しないと。

今日から一学期だ。
外からは野球部のランニングの声が聞こえてくる。そして、鶯の声も…ホーホケキョ、チャチャッチャ、ホーホケキョ…あぁ、春だ…そう心のどこかで思う。本当に鶯の声で春だと確信したと言いきれない自分がいる。本当に「春は曙」。私はきっとあいつに恋したんだな。

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