あの後、少女がどうなったのかはわからない。でもこの集落だけには戻ってはいけない。
「またあの日に逆戻りだ・・・」
が。集落の誰かが虐待を止める取り組みをしている所・・・どうやら警察?というところに通報したらしい。僕は保護され、里親に引き取られた。
「おばさん達は僕が不老不死の鬼の子で良いの?」
そう聞いた事がある。それに対しておばさんは、
「いいんだよ。実の子供のような子が鬼の子だって、化け物だって、愛していることに変わりはないんだから。」
と答えてくれた。
それから10年。僕は仕事についた。その仕事に向かう途中
「あの、すいません」
と、とても聞き覚えのある声がした。そう、この声は・・・
紛れもなく、あの少女の声だった。
音羽・・・
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。