母は、世界中を飛び回る有名な女優さん。
父は、大手企業の社会。
私は、そんな二人の間に生まれた。
容姿端麗、成績優秀、運動ももちろんできる、といろんな人に言われていた。
一見幸せそうに見える。
けど、そんな簡単じゃないの。
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今日も、あの人はいないのか。
まあ、有名な女優さんだし。仕方ないよね。
私のことを飾りみたいに扱う人。
けど、あの人がいないと私は…
もっともっと汚れてしまう。
有名な国立高校に通う、私は、
もうすぐ高校を卒業する。
母がいない、あの人がいない、
この家は本当に地獄だった。
私は急いで自分の部屋へ向かおうとした。
逃げられない。
逃げさせてはくれないんだ。
もっともっと汚れていく。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!