私はシルクくんに全て任せ、適当に遊んでさっさと帰ろうと思っていた。
だけど何故かシルクくんの前では気を遣わずに素の自分のでいられてる気がした。
久しぶりに、偽りの笑顔じゃなく本物の笑顔で笑えた気がした。
その日は色々なところをまわって、楽しい時間はすぐに終わってしまった。
私は気になることを一つ聞き忘れていたことに気づき、私に背を向けたシルクくんを呼び止めた。
シルクくんは、なぜか走って帰ってしまった。
帰り道、私は色々なことを考えた。
今の日時の事、今日あった出来事、そして…シルクくんの事が頭から離れなかった。
今まではシルクくんのことなんて考えたこともなかったのに、今じゃほとんど頭の中はシルクくんの事。
自分が自分じゃなかったみたいで不思議な感覚だった。
そう、今日はただ相手に遊び相手がいなかったから誘われただけ。
期待なんかしちゃいけない、って分かってる
だって…私はシルクくんとは釣り合わない。
いつもシルクくんのまわりにいる女の子は、私とは比べ物にならないくらいキラキラしてて可愛い子ばかり。
大きなため息をつきながら、私は帰宅した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!