目が覚めると、まわりはいつも通りがやがや賑わっていた。
いつも通りだなぁ…そう思っていると、教室のドアが開いた。
その瞬間教室は一気に静まり返った。
ドアの方を見ると、そこにはあなたが立っている。
みんながあなたを見るから驚いて困ってんじゃん!
そう思い俺は話しかけようとした。
俺の言葉をさえぎり、女子グループがあなたに近付いたと思えばそのまま廊下に出ていった。
…なにか嫌な予感がする。
その時俺の脳内に、朝の友人の言葉がよみがえってきた。
“ でもあなたがいじめられたりするかもよ? ”
俺は急いで教室から飛び出た。
あなた、あなた、あなた。
なぜか俺はその時あなたがやけに心配だった。
あいつらに何かされていたら。
嫌な予感が頭をよぎる中、俺は一階に空き教室があることを思い出した。
急いで空き教室に向かった。
覗くと、そこにはあなたと女子グループの姿があった。
見た限りでは俺の思った通り、やっぱり謝させられている。
でもここからじゃ会話はあまり聞こえない。
教室に入ろうとした瞬間、突然あなたが顔を上げた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!