「1人、16歳になった者が居ります。また新しい子どもを連れてこなければなりませんな」
間接照明の光によってぼんやりと照らされた会議室のような部屋の中で壮年の男が数名話している。
彼らは時空警察本部の司令官だ。
「ふむ、誰か候補者は在るか?」
「いえ、めぼしい孤児は見付かって居りません」
「孤児以外では?」
「保護者への説明が必要な上に機密が漏洩する恐れがあります。わざわざリスクを跳ね上げる必要も無いでしょう」
時空警察に所属する子ども達は全員が元孤児だ。
彼等には保護者への説明の必要も無ければ、人権も有って無いようなものなのだ。
彼らの記憶を消して、服従するように忠誠心を植え込めば、従順な傀儡が完成する。
政府は孤児を保護するとの名目で国営で孤児院を設立し、そこの孤児の中から時空警察の候補足り得る子どもを選んでいた。
しかし、その孤児が不足しているという。
それ自体は良い事だろうが。
それ故に彼らは議論している。新たな時空警察の候補をどうするかを。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。