リュウが話を振ってくれた。
振ってくれたのはいいけど、残念なことに僕は話を聞いていなかった。
「え~と、取り敢えず、聴取の続きしよう?」
キョトンとしたリュウの顔。
あぁ、これは事情聴取とか忘れてたやつだ。単純にムカついて捌け口を探してたら僕がいたから僕に話を振ったんだ。
あ、犯人さんもキョトンとしてる。
案外似た者同士かもなぁ。言ったら怒られそうだけど。
「先ず、名前は何て言うの?」
仕切り直して漸く聴取再開。犯人さんにめっちゃ睨まれながら。
「アンタ等は?名前、何?」
名前も名乗らない相手に事情話せないか。
なので素直に名乗ることにする。
「僕はヨウ。で、こっちはリュウ」
リュウが名乗りそうもなかったから、まとめて紹介する。
それで満足したのか名乗ってくれた。
「俺はケント」
「ケント君?歳は?」
「12歳」
リュウと言い合いしていた割りにはスムーズに答えてくれる。
「何で過去に干渉したの?ダメだって知ってるよね?」
「アンタには関係無いだろ」
この質問はまずかったらしい。一気に敵意が剥き出された。
僕の横でリュウも敵意を垂れ流している。
また言い合いになると面倒なので今度は無理やりにでも話を進める。
「教えて貰えないかな?」
「何で?」
「知りたいから、じゃ、ダメかな?」