「アイツに変なこと吹き込まれたのか?」
廊下に出ればリュウがいた。
開口一番『変なこと吹き込まれたのか』はヒドイ。
吹き込まれた訳じゃ無いんだけど。
なんだか不機嫌そうなので速めに答えるべきだと、今までの経験が警告する。
そして、その経験則に僕は従順だ。
「『変なこと』って……………アイツってケント君?」
ヒドイなぁ、は呑み込んだ。
「あぁ」
「大丈夫だよ。明日からはもう行かないし」
「良いのか?」
「うん、もう良いんだ」
何を気にしてくれているのか。
「どうかしたの?」
「いや、良い。変に影響されんなよ」
なんのことだろう?
気にしないうちにその事は忘れてたしまった。