ケント君のところに行かなくなってから2日が経った。
もう会わないだろうと思っていたのに、なんでだろう。
今、僕の目の前にケント君が居る。カウルと一緒に。
「ケント君!」
「アンタ、誰?」
「僕、ヨウだよ!覚えて、ない?」
「いや、知らないし」
たった2日で人を忘れられるものなんだろうか?
かなり喋ったりしていた方だと思うんだけど。
「お前、コイツ知ってんの?」
「知ってると言うか、この前の事件の犯人と言うか……………まぁ、知ってることになると思う。」
カウルの問に答えればニヤッと愉しそうな表情が返ってきた。すっかりいつもの調子だ。
「で、コイツ何者?」
ケント君に聞こえないように顔を寄せて声をおとして聞いてくる。
カウルは諦めが悪いからなぁ。仕方がない、と教えてあげることにした。と言っても大したことは知らないが。
「ふ~ん、コイツ元孤児なんだ。……………てことは、やっぱさ、あの噂ホントかもな」
結局カウルに知っていることを話せば更に愉しそうな表情になった。
カウルは普段から噂の真偽を知りたがっている。
だからって本部のあちこちを嗅ぎ廻るのもどうかと思うけど。
「でも、元孤児は良いとして、なんで僕のこと覚えてないんだろう?」
「最後に会ったの2日前だっけ?ま、ふつうは覚えてるわな。記憶力がニワトリ並でもない限り」
「さすがにそれは無いんじゃ………」
知らない人相手にリュウもカウルも辛辣だ。
知らない訳ではないか。
「ところで、カウルはなんでケント君と一緒に居るの?」
「オレの前のペア居なくなったろ?」
「うん、なんか語弊があるけど」
「気にすんな。んで、コイツと新しくペア組まされることになった」
ここでは16歳の誕生日会はするが、歓迎会みたいなことはされないから知らなかった。
噂好きな子は知っていたりするけれど。
「そんなことよりさ、今コイツの素性聞いて考えたんだけどさ!」
カウルはまた何か愉しそうな表情で笑った。