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第20話

*エピローグ*
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2018/02/04 12:49
今日は風の強い晴天。
見上げれば満開の桜。
地面には桜のじゅうたん。
3年前。


入学式の日、
初めて先生に出会った。
あの時は、
まさか先生に恋するとは思ってなかった。



高校を卒業したら付き合おう。
という約束をしたあの日。

やっと、…やっと、その日がきたんだ。







あれ??
そういえば…。
本谷 蘭 (もとや らん)
ねぇ、雅紀さん
椎野 雅紀(しいの まさき) 先生
ん?
あ、あと、
あの約束をしたあの日から
私は先生のことを"雅紀さん"。
先生は私のことを"蘭"と呼ぶようになったんだ。
椎野 雅紀(しいの まさき) 先生
早くいえ(笑)
本谷 蘭 (もとや らん)
あ、ぁあごめん(笑)
本谷 蘭 (もとや らん)
えっとね…私、
雅紀さんと出会う前に好きな人いたんだ
懐かしい…
今になっては良い思い出だなー。
と思い出に浸っていると雅紀さんが何か考えるように腕組みをして言った。
椎野 雅紀(しいの まさき) 先生
お前…気づいてなかったのか
少し驚いたようにそう言う雅紀さんに、
?が浮かぶ。
椎野 雅紀(しいの まさき) 先生
2月14日に出会って、
名前すら知らない男。
"違うか?"

そうニヤリと変な笑い方をして言う雅紀さんに少しいや、かなり驚く。
なんで知ってるの?
もしかして、葵か輝に聞いたのかな。
椎野 雅紀(しいの まさき) 先生
受験で会えないって言われて、
中学生だって知った時はビックリしたよ(笑)
本谷 蘭 (もとや らん)
えっ…どういうこと!?
え、何。エスパー!?
そんな詳しい話は葵にも輝にもしていないのに…。
椎野 雅紀(しいの まさき) 先生
違うわ(笑)
本谷 蘭 (もとや らん)
え、じゃあなんで?
椎野 雅紀(しいの まさき) 先生
…俺だから。
本谷 蘭 (もとや らん)
え、…ちょっと待って?
あの男の人は、
雅紀さんだったってこと?
そう聞くと、
雅紀さんはどこか照れたように頷いた。
そんな…信じられない。
でもよく考えたら、
帽子ばっか被ってて顔はハッキリわからなかった。
それに、よく聞いてみると声もどことなく似てる気がする。
椎野 雅紀(しいの まさき) 先生
名前すら知らなかったもんなー
空を見上げてそう懐かしそうに呟く雅紀さんを見て、私も同じように空を見上げて微笑んだ。
本谷 蘭 (もとや らん)
同一人物だったんだ…



あの2月14日。


バレンタインの日。


そして、初雪が降ったあの日。


初めて出会ったあの男の人に恋をした。





高校入学式。


担任の先生、
椎野雅紀先生と出会って恋をした。



そして、その二人は同一人物だった。


2月14日

バレンタインデーの日に、
恋に落ちて…
次の年のバレンタインデーには、
フラれて…。
やっとようやくその恋が今日、叶ったんだ。
こうして雅紀さんの隣にいられるのは
きっと、あの2月14日の雪のお陰。



隣にいる雅紀さんも、
同じことを考えているのか凄く幸せそうな表情。
そんな雅紀さんの顔をみられるのが嬉しくて、私は目を細めて笑った。
本谷 蘭 (もとや らん)
約束の日
椎野 雅紀(しいの まさき) 先生
うん…今日からがまたスタートだ
私たちの時間はまた今日からスタート。
どんな時でもきっと、二人なら乗り越えられる。
今までダメになりそうになった日も、
より深く心を繋げあった日もあったよね。
これからどんなことが待ち受けているのか…分からないけど、私達には言い尽くせないほどの思い出があるから…。
きっとその思い出を胸に、前に踏み出せる。
椎野 雅紀(しいの まさき) 先生
やっと、周りを気にせず歩けるな(笑)
本谷 蘭 (もとや らん)
うん!!
椎野 雅紀(しいの まさき) 先生
さて、初デートにでも行こうか!
どこいきたい?
私はしばらく考えこんで、
ポツリと言った。
本谷 蘭 (もとや らん)
…雅紀さんと初めて会ったあの場所に行きたい
雅紀さんは思わぬ私の発言に驚いた表情を見せたが、すぐに優しい笑みを浮かべて、
当たり前のように手を差しだす。
私はちょっと躊躇いがちにその手を握った。
私、絶対忘れないよ。


すれ違ってばかりだった、私達。
歳の差や立場なんてそんなの気にしないくらい、いつもあなたを想ってた。


雅紀さん。
あなたを好きになれて良かったよ。
雅紀さんに恋をしなきゃ、
こんなに苦しい気持ちも、
一緒にいられるだけでこんなにも幸せな気持ちになれることも、
泣いて傷つくことも…
知らなかったから…。



『やらずに後悔するより、やって後悔しろ』





雅紀さんは、
後悔していますか??



私はしてません。





出会ってくれて、
私を愛してくれて、





ありがとう。




どんな時も側にいてね?
…約束だよ。



END

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