裕翔side
家と全然違うから落ち着けなくて、
いつも夜中に起きてしまう。
喉乾いた…
俺は車いすに乗り、病室を出た
自販機の前で...
ピッ
ガチャン
しばらくぼーっとしていた
何だろう…あなたちゃん
焦ってる...?
ピッ
ガチャン
ドキッ///
俺の隣にあった椅子にあなたちゃんが腰掛ける
・
・
・
沈黙が続く...
気になる...
肌寒いこの季節でこんな汗をかくことは
そうそうない
何かあったんだ
でも聞けなかった
何でかは分からない
気づけばあなたちゃんの背中をさすっていた
俺には理由を聞ける権利なんてない
いつか彼女から話してもらえればそれでいい...
近付きたい…
あなたちゃんのことを放っておけない
手放したら、どこかに行っちゃいそうで
でも近づけない
だからあなたちゃんの心に近づけるように、
ずっとそばにいたいと思った
──────────
あなたside
ビクッ
気づいたら裕翔君が私の背中をさすってくれていた
温かいその手が安心する
さっきまでの私を落ち着かせている
何か、今はこのままでいたい
・
・
・
私の病室の前で...
・
・
・
病室に戻って...
びっくりした…
裕翔君が...私の事を好き...?
何か自分が分からなくなってきた
嬉しかったけど、なんかひっかかる...
今日はもう寝よう
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。