人魚が展示されている水槽の造りは凄かった。
大きな水槽の真ん中にお城があり、その中は海中トンネルの仕組みで人間も入れるようになっていた。
他には、海藻がたくさん生え、林のようになっているところや
大きな貝殻が椅子のようになっているスポット。
そして、人魚の数は7匹だった。
人魚は魔法の力で人間の姿をすることも出来る。
それを披露するためか、時折水からあげられ、その姿を見せられていた。
7人は、ほかの水槽には目もくれず、一目散に人魚のコーナーへと走った。
そんな声が聞こえ、みんなが見ている方に目を向ける。
それはお城の中で虚ろな目をし、ぼーっとしているあなただった。
ジミンはお城の中へ入っていく。
ほかの7人もそれに続いて入っていった。
中へ着くと、あなたの名前を呼んだ。
ジミンのその言葉で、あなたはゆっくりと7人の方を向いた。
あなたの心がどれほどズタズタになっているのかは、その言葉だけで十分わかった。
全員の必死な訴えは嘘には聞こえなかった。
あなたとジミンはガラス越しに手を合わせ、お互いを見つめていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。