女子の喚き声が飛び交う。
いたっ...
みんな、前に前に詰めてくるからすごい押されて。
しんどいいい
千秋が目の前にいる。
また再会できてる。
こんなことある?
ステージの上から薫が自慢げに笑う。
いいな...
すごい近いじゃん千秋と。
薫はあんまイケメンとか興味ないから
普通にスルーしてる。
薫が私にそう伝えてきた。
私は大きく首を縦に動かしまくった。
≫バチンッ≪
え、今目が合った??
いやでも私のことなんて覚えてるわけないし...
そうして40分に渡ったライブは終わった。
携帯を開くと、薫から “ ステージ裏に来て欲しい ” と連絡があったので、私は向かうことにした。
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その道中。
手首を掴まれて思いっきり走る。
まさか...
このフードにサングラスにマスクって....
そして体育館の裏に着いた。
人が少ない。
もう。なにが現実かわからない。
だって。すごすぎるでしょ...?
私に会いに来てくれるって____
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!