黄瀬はドアを開けたまま固まっている
しかし、黄瀬の目はしっかりと私達を睨んでいる
そして青峰も、見えはしないが後ろからひしひしと怒りが伝わってくる
どのくらい長く二人の間に火花が散っていただろう
私はそれに挟まれていた
とりあえず...早くどきたい!!
先に沈黙を破ったのは黄瀬だった
そう言って青峰はまた私の首を舐めた
黄瀬の顔は完全に怒っている
チラリと青峰を見ると、これまた顔が怒っていた
もうやだよ...(泣)
私は黄瀬について行った
着いた部屋は、まだ私が見たことも行ったこともない部屋
そりゃここに住んでそんな経ってないし、この家広いしね
私は案内された部屋に入った
私が先に部屋に入ったから振り返って聞く
しかし思った以上に黄瀬が近くて、後ずさりした
黄瀬はそう言って私を壁に押し付けた
口調も柔らかく、口角も上がっているが、目が笑っていない
怒鳴られるよりこっちのが怖い
私は目をそらしながら答えた
しかし私にも分からない
なんで青峰はあんなことをしたの?
しかも、血を吸わずに舐めるだけ
何をしてたか?聞きたいのはこっちだっつの!
心の中で文句を言いながら私は黄瀬の手を振りほどこうとした
黄瀬は手に力を込める
この馬鹿力!!
ついに私は心の隅で思ってたことを言ってしまった
言ってて自分で気が付いた
これ、嫉妬してるんだ...
訂正しようと思ったが無駄だと思い、堂々と黄瀬の言葉を待った
しかし、黄瀬は黙ったまま俯いている
不思議に思い覗いてみる
黄瀬の顔は真っ赤に染まっていた
な、なに...そのギャップ...//
不覚にも、胸がドキンと高鳴った
そして、私の顔も移ったように真っ赤になった
そのとき、ガチャガチャとドアの音がした
青峰はドアノブをガチャガチャと回している
なんで開けないんだろう?と思っていたが、よく見ると鍵がかかっていた
きっと黄瀬だろうな
すると、バァンッという音と共にドアが飛んできた
青峰はドアを壊して開けた
そしてこの状況を見て一瞬固まった後、私と黄瀬を引き剥がした
またもや二人の間に火花が散る
すると、不意に青峰がこちらを向き言った
続けて黄瀬も、
.......はい?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!