急に告げられた別れにまだ頭が整理できていないのに、今気まずい青峰に会うなんて最悪だ
黄瀬に...?なんで...?
青峰は、くるりと後ろを振り返り歩き出した
行っちゃう
青峰が
せっかく久しぶりに会えたのに
私は無意識に青峰を呼び止めた
もちろんこの先何を言うかなど考えていなかった
でも、このチャンスを逃したらまた青峰と話せなくなってしまう
せっかく自分の気持ちに気付けたのに...
黄瀬も、応援して身を引いてくれたのに...
青峰のイラついた顔が、私の言葉を留めさせる
でも、言わなきゃ...
好きって気持ちは、言わなきゃ絶対分かんない...
私は1つ深呼吸をし、青峰と目を合わせた
とりあえず話を聞く体制に入ってくれた
少し安心してから、私は恐る恐る口を開いた
違う...あの二人が悪いんじゃない
いつまでも決めずにいた、優柔不断な私のせいだ...
私は───
どういう事...?
私は、青峰と話せなくなるのが嫌で...付き合えなくてもいいから...
違う、付き合えなくていいなんて思ってない
青峰は大きなため息をついた
あーあ...ダメだったか...
はぁ...!?
え、でもそれって...
うそ...
青峰は徐々に近づいてきて、私の腕を引っ張り抱き寄せた
顔を上げたら、青峰に軽いキスをされた
私達は顔を見合わせてクスリと笑い、もう一度唇を合わせた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。