第5話

楽と龍之介
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2018/01/13 16:28
そうして僕が目覚めると目の前には僕と同じくらいの年齢だと思われる綺麗な容姿の白髪の男とすごく色気がありモテそうな男がいた。そうして僕を不満そうな、心配そうな顔で見つめていた。
十龍之介
十龍之介
あ、目が覚めた?
八乙女楽
八乙女楽
おい、お前大丈夫か?...って大丈夫なわけねぇよな...。
七瀬天
七瀬天
うっ...?ここ、は...?あっ...陸、ごめん...。兄ちゃん変なところに連れてこられたみたいで...帰れそうにないよ...約束、守れなくてごめん...。陸のこと一人にさせたくないのに...僕のせいで病気が悪化してたらどうしよう...。
八乙女楽
八乙女楽
お前、さっきから何一人でぶつぶつ言ってるんだ...?お前はここにさらわれてきたって分かってるのか...?
俺達が吸血鬼だって分かってるんだろ?吸血鬼の前でそんなに堂々としてるやつ初めて見たな...。あのくそ親父よかよっぽどお前のこと気に入ったわ、お前名前は?
十龍之介
十龍之介
楽、いきなりしゃべりすぎだよ...。でも君、確かに俺達吸血鬼がいる前でもそんなに平気な態度とれてるなんてすごいね...。こんな状態で他のこと考えている余裕があるなんて...。俺なんて、最初に楽とカオルさんに会って、そして何より君はまだ会ってないけどここ、冷酷大陸の吸血鬼の王...楽のお父さんに会ったときは怖くて怖くて仕方なかったよ...。今は楽とカオルさんは平気になったけど...。でも最初は俺怖くて怖くて仕方なくてパニックになってたから、俺からしたら君すごいよ...。...あ、俺もしゃべりすぎたねごめん...。まずは君の話聞かないとだよね...。ごめん、一人言聞いちゃったんだけど病気の弟さんがいるって本当...?
八乙女楽
八乙女楽
お前まさか龍之介と同じように脅されてきたのか...?だとしたら悪い...。あのくそ親父のことは俺も気に食わねぇ...。こんな冷酷大陸なんて名前もすべて変えてあのくそ親父をいつかぶっ倒してぇと思ってる...。だが今の俺には力がねぇ...だからお前はこれから先いっぱい嫌なことされると思うけどよ...脅されてきたなら、くそ親父には逆らわない方がいいぜ...。病気の弟のこと言われたんだろ...?従わなかったら弟の命はないとか、もしかしたら吸血鬼にして病気を治してやるとか言われたんじゃないのか?お前が逆らえば狙われるのはお前の弟の方だ...。だから、いくら辛くても逆らおうとするな...辛かったら俺や龍之介に当たってこい...仲間だからな...。
十龍之介
十龍之介
君も脅されてきたの?だとしたら俺と同じだね...。俺も辛いけど皆のためなら仕方ないと思ってるんだ...。だからいつでも俺達に弱音吐いてよ、いくらでも聞くから...!
七瀬天
七瀬天
ここ、どこなの?君達なんなのさっきから勝手にしゃべってて...僕は陸のことが心配で心配で仕方ないのに!早く僕を陸のところに帰してよ!だいたい何で僕なの!?意味分かんない!変な女に血を吸われて特別だとか美味しいだとか力が沸いてくるとか他の人間とは違うとか言ってたけど、そんなこと僕からしたらどうでもいい、意味分かんないし...。それに冷酷大陸とかいきなり言われても全然意味分かんないだけど、いいからさっさと元の場所に帰してくれない?
八乙女楽
八乙女楽
お前やっぱり面白い奴だな...。最初は一人言で陸ごめん...僕帰れそうもない...約束守れなくてごめん...とか弱気なことばっか言ってたのに今度は強気に帰してくれとか本当面白い...。気に入ったぜ、すまない、俺達ではお前を帰してやれないけどよ...これから仲良くしようぜ、俺は八乙女楽。ここ、冷酷大陸の吸血鬼の王子だ...いつか俺がこの冷酷大陸の吸血鬼の王であるくそ親父を倒してやるから待ってろよ...えっとお前フルネームなんだっけ...?
十龍之介
十龍之介
楽、なんだっけとか言わないの...。俺は十龍之介、よろしくね...。俺も元は君と同じ元人間だったんだけど実は俺沖縄のホテルの御曹司でさ...沖縄のホテル以外にも色々事業やってる大きなグループで、ある日沖縄を吸血鬼に支配されたくなければ来いって言われて俺が差し出されたんだ...そして吸血鬼になった...。似た境遇同士...仲良くしようよ...それで君の名前は?
七瀬天
七瀬天
僕の真似しないでよ、全然似てないからやめてよね...それと勝手に貴方と一緒にしないでもらえますか?同じ人間だったとしても、僕は貴方と違って御曹司じゃない!双子の弟の陸の面倒見るために必死に働いてるんです御曹司だった貴方と一緒にしないで...!...僕の名前は七瀬天です...。
十龍之介
十龍之介
うぅ、天かぁ...この子なんかすごく毒舌だよ楽...。励まそうと思っただけなのに...。確かに御曹司だったけど同じ人間同士じゃないか...。
八乙女楽
八乙女楽
は、本当面白いよあんた、天。ただあのくそ親父の前では...その態度ももたないだろうけどな...。それにもしもったとしても逆らわない方がいい...陸って言ってたか?弟さん、狙われたくないだろ?またあとで俺達が色々教えてやるよ...そろそろカオルが来る頃だな...お前のことを吸血してここに連れてきたあの女の吸血鬼のことだ。お前のことをおそらく親父のところへ連れていくんだろう、またあとで話そうぜ...。
十龍之介
十龍之介
うぅ、宗助様のところ怖いから行きたくないよ...。楽が宗助様と喧嘩してるところ見てるとこっちがはらはらしちゃうから...喧嘩しないでね、楽...。
八乙女楽
八乙女楽
俺はいいんだよ、息子だからな...。まああんな奴の息子だなんて思いたくもねぇけどな...。
そうしていると僕を吸ってきて、ここに連れてきた女の吸血鬼、カオルがやって来て...。
カオル
楽、龍之介。この子と仲良くなれたかしら?まあ色々と面倒見てあげなさいね...それにしてもやっぱり、こうして三人揃うとイケメン揃いよね♪って...そんなことを言ってる場合じゃなかったわ...宗助様がお呼びよ、そこの貴方とそして楽と龍之介も来なさい。宗助様からの命令よ...。さあ行きましょ!貴方、くれぐれも宗助様の前で失礼のないようにね!弟さん、どうなっても知らないわよ?♪
そうして僕はカオルの案内で楽と龍之介と共に宗助というこの冷酷大陸とかいう場所の王とやらのいる場所に行った...。このとき僕は、まさか今後自分がそいつの言いなりになって吸血鬼となり...大事な弟の陸を危ない目に合わせないために冷酷になって様々なことをしていき...そして指揮を取って龍之介と楽と冷酷大陸で活動していき、最悪の形で陸と再会することになるなんて考えてもいなかったんだ...。

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