『愛ちゃん!愛ちゃん!』
『愛ちゃん!僕愛ちゃんの事好きだよ!』
パチッ
目を開けるとそこは真っ白い天井に
少し消毒液の匂い
そして…
私の大好きな祐くんの香り
体を起こすと確かにそこには
奏翔くんが…
でも祐の匂いが…
顔をキョロキョロとしてたら
祐の匂いがあった
それは祐が着てたブレザー
奏翔くんは悲しそうな表情で笑って
奏翔くん何言ってるの?
私が鈍い?
そんな事ないと思うけど…
確かに方向音痴だし優柔不断だし
頭は良くないし…
ズ、ズレ…てる?
ど、どういう事?
わけわかんない
そういうこと…だよね?
鈍い…とかさ
えっ?えっ?
待って展開が早すぎて
頭がついていかない
だってほんのちょっと前に
会ったばかりだよ?
な、なんでわかるの?!
奏翔くんってエスパーかなにか?
今もずっとニコニコしてるし
そう言ったあとに
祐がどうのこうの言ってたような…
奏翔くんは嬉しそうな顔をして
ありがとう、と呟いた
タイミングがいいのか悪いのか
祐が保健室のドアを開けて入ってきた
私は奏翔くんに手を振って
家路についた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。