第7話
ラスト〜終極〜
そうか・・・いいんだ、兄弟達は助かったんだから。
俺の、長男としての最後の役目として、果たそう。
カラ松は何も言わず、目から涙をこぼしていた。
皆の顔を目に焼き付けて、俺は教室を飛び出した。
冷たい風を顔面に受けながらひたすら走った。
ペタペタペタ・・・
後から足音が聞こえる。
ダメだ、このままじゃ捕まる!
そう思った俺は廊下をひたすら曲がった。
ゴンッ。
転んでしまったのだ。
あぁもうダメだ・・・
走ってくる血鬼が見える。
もう少し皆の顔を見ておけば良かった・・・
でもそんなこと言ったってもう会えないし・・・しょうがないか。
1人で呟いた。
そのうち目の前にやってきた血鬼が俺に手を伸ばした。
俺は目を瞑った。
ドンッ
誰かに押された。
恐る恐る目を開けてみると、青いパーカーが倒れていた。
カラ松だった。血鬼の手が突き刺さっている。
カラ松が身代わりになったのだ。
笑顔で涙を流しながら絶え絶えに話した。
血鬼も驚いたようで、突き刺さっている手を抜いた。
その反動でぐらりと倒れたカラ松を受け止めた。
最後の方は涙声で、言えていたか分からない。
俺の目からこぼれ落ちた涙をカラ松が拭った。
カラ松の声が段々と途切れ途切れになってくる。
俺はこぼれる涙になんの気も払わず、ニッと笑った。
カラ松がにこっと笑った。
可愛い。
そう言い残すとカラ松はゆっくり目を閉じた。
そのうち他の兄弟達が走ってきた。
俺はそう言いながらカラ松の頬をなぞった。
またボロボロと涙が出てきた。
ペタ。
俺の後ろで足音がした。
振り向いてみると、立っていたのは
血鬼だった。
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