第5話

理由
605
2018/01/23 12:24
教室を出て廊下を真っ直ぐ行ったところ。

階段の手前。

少し俯きがちで歩いている羽瑠を見つけた。


走ったのは教室を出るときだけでそこからは歩いていたのだろう。

そこまで距離は離れていない。

あなた

羽瑠ッ!!

名前を呼んでも振り返ってくれないのは怒っているからだろうか…。
あなた

羽瑠……ごめんね … ??

少し走って彼に追いつき隣を歩く。

俯くその顔を覗き込むようにして謝るけど返事をしてくれるどころか目も合わせてくれない。
あなた

ねぇ、ごめんね?

あなた

羽瑠…聞いてる…?

何回も謝るが彼の態度は変わらない。


あぁ、駄目だ涙が出てきそう。

悪いのは私。それはわかってるけど無視はきついなぁ…
あなた

ごめn

羽瑠
……に、
もう一度謝ろうとした私の声とかぶるように羽瑠が何か言った。
あなた

え…??

羽瑠
……なにに、……何に謝ってるの……?
目は合わせてくれないで…いつもとは違う冷たい声でそう言った。
何にってそんなの羽瑠が怒ってることに対して謝ってるに決まってる。
あなた

何って…その、羽瑠がいるのに來雅と仲良くしてたこと……。

あなた

それが嫌だったんでしょ…?

羽瑠
……………………だけ…?それだけ……??
数秒の沈黙の後、俯いていた羽瑠が驚いたように顔を上げる。

それだけ、って他にも何かしたっけ…??

てっきりそれのことに怒ってるのかと思ってたから他の理由なんてわからない。

プリ小説オーディオドラマ