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第9話

涙 。
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2018/02/03 04:19
わたわた、と慌てる來雅と涙を必死に袖口で拭う羽瑠。
來雅
もう泣くなって…それに謝るのは俺にじゃない
さっ、と目元を擦る羽瑠の腕を取り、指で優しく涙を拭いてあげる來雅。

ぽんぽん、と頭を撫でて微笑む姿はまるで優しいお兄さんのようだった。
羽瑠
…ん。
羽瑠は來雅のその言葉にこくり、と頷けば私の方に歩んでくる。
羽瑠
………あなた…
あなた

ん…?

これ以上 羽瑠の涙を増やしたくなくてなるべく優しく微笑み、答える
羽瑠
ごめんね…ッ
尚も座りこんでいる私に視線を合わせるようにしゃがみこめば

ふわり、と優しく抱きしめてくる。

そこに先程までの恐怖はなく、心地の良いものだった。

優しく包み込んだ彼の体温がくれる安心感

さらさらした黒髪から香るのは故意的につけられたものじゃない、シャンプーの自然な香り

頭を撫でてくれる手は他の男子よりも華奢なものでまるで割れ物にでも触るように優しい手つき。

あなた

大丈夫…私の方こそごめんね……??嫌だったよね…

羽瑠
嫌だった…あなたが離れていっちゃうって考えると怖かった…ッ
折角止まっていた彼の涙はまたぽろぽろと溢れてくる。

まるで幼い子どもをあやしているみたい。

あなた

ごめんね…大丈夫だよ、離れてなんかいかないから

こく、っと頷く羽瑠。

ぎゅっ、と胸のあたりが苦しくなるようなこの感覚はきっと、

彼の弱い姿を見て、守ってあげたいと思う母性本能からだろう。

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