いまの…
私の、前世の記憶だよね
私と向葵さんが前世付き合ってたのってほんとだったんだ。
「…ん?夏芽?どうかした?」
「え…?」
顔ちかっ!///
「あ、…え…あ、うん」
麗と距離をとる。
「あのね…」
『あ〜らら?言っちゃうの?』
その時だった。
突然にイブの声が聞こえる。
「イブ!?…あ…っ!!」
名前を言ってしまってから、急いで口元を押さえた。
『大丈夫。今私の姿はあんたにしか見えてないから。』
そんなこともできるんだ。
どうしよう、イブがいる中では私が話しづらい。
しょうがないか…
「…用事思い出しちゃった。ごめんね」
「あ、そっか。送ろうか?」
「いや、大丈夫。」
カバンを持って玄関に向かう。
「じゃあ、バイバイ。麗、向葵さん」
「うん、またね」
「おー」
私は、麗の家を出るまでずっと隣でニヤニヤしていたイブに言った。
「すぐそこに公園があるはずだから」
『ん?いや、別にここでも』
「だめ。」
『……』
イブは少し不満があるのかムスッとしたままついてきた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!