パタン、とドアの閉まることが響く。
あぁ…、心配かけちゃったな。
「あれ?あの人帰っちゃった」
ドアを見つめていると、急にイブが現れた。
ずっとみてたのかな。
でも、そんなことよりも気になることがあった。
「イブ…なんで泣いてるの?」
彼女水色の瞳には、うっすらだけど涙が残っていた。
「さっきまで笑い転げてたから?だって貴方たちおもしろいんだもんw」
そう言ってイブは軽く笑った。
そうだ、イブがいるならちょうどいい。
「ねぇ、麗のこと本当に好きなの?って聞いたでしょ?」
「それが?」
「私、もしかしたら本当は麗に恋なんかしてないのかもしれない。でも…」
馬鹿らしいって思うかもだけど、どうか聞いてほしい。
「私は、麗がすき。」
きっと私の答えはこれだ。
「人ってほんっとわけわかんない」
「麗に辛い思いをして欲しくないの。だから!」
私はイブに押しいった。
水色の瞳をじっと見据える。
イブは、このままだと、麗も苦しむことになるって言った。
そんなの、嫌だ。
「未来、私たちに起こる不幸なことを何か教えてほしいの。私で止められるものなら自分で止める。」
ねぇ。イブ。
貴方、未来が見えるんでしょう?
イブの口角が、スッ、と上がった。
「いいよ、じゃあ教えてあげる。面白そうだしね。」
「ほんと!?」
「でも、私が教えるのはヒントだけ。答えは自分で見つけなさい。その方がぜんっぜんおもしろいし」
「いい?よく聞いて。ヒントは……
…眠れる森の魔女。」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!