どう反応したらいいかわからなかった。
「簡単に言ったらこんな感じ。」
彼女の嫌なほど頭に残る笑みはまだ消えない。
「ねぇ、貴方は何でここにいるの」
「何で、ねぇ…。特に意味はないよ。ただ、面白そうだっただけ。だから貴方たちにこの事を教えたの。あー、貴方たちの歪んだ表情を見れる日が楽しみだわ」
「俺たちが触れることで、前世が見えると言うことに気がついたとして。俺たち生活には何にも関係ないだろ」
「いや、関係あるよ。」
魔女さんは、今までで1番深みのある声で言った。
「君達2人は未来、確実に苦しむことになる。」
「…なんでそんなことわかるんだよ」
「未来が見えるから。貴方の残酷な未来が」
向葵さんの残酷な未来
私はどんな未来でも受け止めるつもりだ。
でも、向葵さんは、高校時代によくしてもらった先輩だから、できるなら彼だけは
「未来を見ることができるなら、変えることもできるんじゃ」
「できるよ、でも、未来は変えない。そんなの面白くないじゃない?せっかくの面白い機会を私逃したくないもの」
魔女とは皆こう言うものなのだろうか。
「そんな…」
「魔女ってみんなこう言うものよ?人の不幸が大好きなの」
彼女は、決していいとは言えない性格をしていた。
でも、私はその発言にどこか引っかかるところがあった。
何かと聞かれたらわからないけど。
「私、面白そうなことは絶対逃さない性格なの。まあそういうことだから、これからもちょくちょく2人の前に姿をあらわすかも。その時はよろしくね〜」
彼女は、「あと私はイブ。魔女って呼び方好きじゃないの」そう言って消えていった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。