『眠れる森の魔女』
それがイブからの《ヒント》だった。
そんなのわかるわけないじゃん。
イブはそれだけ言って消えちゃったし。
なんかのなぞなぞ?
いや、あのイブのことだ。
意味のないことを言っていてもおかしくはない。
そもそもヒントっていうくだりがうそ…
「あああああああああああああ!!わっけわかんない!!!」
…どうしよ
自然と溜息が漏れる。
イブのこと知ってるのって、向葵さんだけだし、相談にのってもらうのがいいのかな?
そう考えていた時、視界にノイズが走ったように歪んだ。
…またいつものか。
ソファーに座って目を瞑る。
最近、視界がノイズがかったように歪むことが多々ある。
イブに出会う前から頭痛には悩まされてはいたけど、前世が見えることと関係がないとは思えない。
今度イブに聞いてみるかな。
「もう寝よ…」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!