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第20話

16個目の絨毯
いつの間に寝てしまったのだろう。

立ち上がるとドッと疲れがのしかかってきた。

あのノイズのせいだろうか。

とりあえず、顔を洗おうと、鏡の前にたつ。

「え…なんで。」

私の両目からは、涙が頬を伝ってこぼれ落ちていた。

夢を見た記憶はある。

もしかして、悪夢とかだったりした?

いや、違う。

違う、もっと、何か…

「そうだ…幸せな、夢だった。」

思い出せそうで思い出せない。

顔を洗ってリビングに戻る。

スッと視界の端にソファーが映った。

その瞬間。

思い出した。

私がなんの夢を見ていたのか。

そして、これから私…いや、私たちに起こることもなんとなく理解した。

「そういうことだったんだ…。」

そうだとしたら…

ううん、たぶんこれが正解だ。

だとしたら、

「神様は相当イタズラが好きみたい」

含みを持った笑いとともに聞こえたその言葉。

振り返ると、案の定イブだった。

「今、そう思ったでしょ?」

ニンマリと笑ってイブは言う。

「イブ、わかった。…わかったの。私たちに降りかかる不幸が。なんで、麗も苦しむことになるのか。」

ねぇ、イブ。

答えて。

「私と向葵さん。両思いになるんだね?」

「…案外早かったね?なに?なんかあった?」

私は、夢のことを話そうと思ったがやめた。

彼女の性格上、鼻で笑われて終わりそうだったから。

「私、なんとなくはわかった。でも、まだ不確かなところがあるの。もういいでしょ?詳しく教えて。」

「うーん、まあ、いいかな。合格点まではあと少し足りないけど、特別に許してあげる。」

イブはこちらにクルッと背を向け話し始める。

「あなた達は、前世恋人同士だった。それの血の関係かしらね。あなた達自身、互いに惹かれ会い始めているの。最近、触れてないのに前世を視ることが何回かあったんじゃない?それも原因の一つよ。まあ、ざっくり言うと、」

イブはソファーにストンと座る。

「貴方と彼は、引き離すことのできない前世の血液から、自然と惹かれ合う運命なの。もしも、貴方に好きな人がいても。」

「もし、私が、麗を好きでも?」

「ええ、貴方に流れている血には逆らえない。」

もし、私が麗を好きでも。

この血液が流れている限り、私は向葵さんに惹かれていくんだ。

「いつかは、私の麗への思いも消えていっちゃうんだ。」

「だから、人間って醜いのよ。貴方達のする約束なんて、歩くことよりも簡単に壊れてしまう。」

イブの顔は、どこか悲しそうだった。

その姿は、いつもの彼女からはあまりにも想像ができなかった。

私は思わずイブの左手を両手でギュッと握った。

「ねぇ、貴方。それでも、彼を愛するの?」

その言葉は、とても簡単に私の心を抉ってみせる。

イブは私の手を握り返した。

けれど、私は、この気持ちを前世だからと言って消えさせたくはなかった。

「うん。私、もし、麗を愛せなくなったとしても、この愛が消えるまでは彼にもらった愛を返したい。せめて、返してあげられるような何かをしたい。幸せにしないで諦めるなんて絶対に嫌。」

「そう、やっぱり。人間って馬鹿な生き物ね。」

「知ってる。」

「私がここまでいってあげたのに。」

「うん。」

「なんで言うこと聞かないのよ。」

「ごめんね。…だから、…泣かないで?」

細められた赤色の瞳にはあふれんばかりの涙がたまっていた。

私がそういった途端、堰を切ったように溢れ出す涙は、なんのためのものなのか私には全くわからない。

なぜ、泣いているのか、

なぜ、悲しいのか、

わからない。

涙を拭こうと、ハンカチを取り出し渡そうとすると手を払われた。

「いや。人間の、貴方の助けなんてかりられない。」

そう言って、立ち上がって玄関へと向かう。

私はただ、それを見つめるしかできなかった。

「ちゃんと、、約束を果たさなきゃ。」

最後に彼女が言ったその言葉が、なぜか私の耳からずっと離れなかった。

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りんごあめ
りんごあめ
りんごあめです!よろしくお願いします。}m(_ _)m 好きなものは ・おそ松さん ・ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。 ・カゲロウデイズ ・ナカノヒトゲノム【実況中】 ・銀魂 ・ボカロ ・そらまふ ・うらさか ・天月 ・浦島坂田船 ・96猫 ・クプラ ・あるふぁきゅん+a ・伊東歌詞太郎 ・夏目友人帳 ・蛍火の杜へ ・妄想 ・殺伐シェアライフ ・君の膵臓をたべたい ・殺戮の天使 などです。}(*゚▽゚*) この中で最近ハマってるのは ・歌い手 ・殺戮の天使 ですね}+゚。*(*´∀`*)*。゚+ あ!ちなみに永遠のcrewで、坂田家です!! 吹部でクラリネット吹いてます。♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪ お話できたら嬉しいです。