綺麗...
人がいなくて。
私と瞬くんの2人きり。
あー。気持ちいい。
浜辺に横になって瞬くんが言った。
私も隣に座る。
あ。誕生日。おめでとう。
あ、ありがとう!
形に残るものはないけど...
全然!こうやってここに
連れてきてくれただけで。
そか。
形に残るもの....
あ、そうだ!
ん?
写真撮ろう!
それが形に残るもので!
そんなんでいいの?
それがいいの!
瞬くんは起き上がって、私の肩を掴んでグッと
自分の方へ寄せた。
ん。写る?
う、うん!撮るね?
パシャっ
なんか笑顔硬くね?
そ、そんなことないよ!
携帯貸して?
?
はいこっち向いてー。最高の笑顔でー?
い、いやだいやだ!撮らないで!
なんでよ。
別に私だけの写真とかいらないよ笑
えー
あなた...?
え?
名前を呼ばれて振り返る。
お、お母さん!?!?
やっぱりー!
.....そちらの方は?
あ、僕、あなたさんとお付き合い
させていただいております、的場瞬です
的場....瞬....
?なに?
ああ、昔手紙くれt...
☎️ぷるるるる
俺だ。ちょっとすいません。
う、うんっ
お母さんに付き合ってることバレたぁ.....
いや、東京に行きたい理由は
「初恋の人に会うため」って言ったけどさぁ...
え!?とれなかった!?
的場くんが今日1番の大声を出した。
わかりました....
どうしたの?
ホテル。とってたところ前使ってた人が
体調崩したらしくて、
もう一泊するらしい。
えっ?
俺ら泊まれない。
なんだー、そんなことなら。
うちに泊まりなさいよ
えっ!?!?
いいんですか?
ちょっ、的場くんまで...
助かります
いやでも...
ここはお願いしようよ。
俺ら今日野宿になっちゃう。
それは嫌だな
話が早いわね、さあ、いらっしゃい!
こんなことになるなんて.....
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!