第68話

白 と 花弁.
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2018/03/11 08:58
少し重いドアを押した草木の番人は、左の方向に曲がり、植物達の中に消えた。
私もドアを続けて押し、そっと足を踏み入れる。
少し歩くと、草木の番人の言う通り、軽い石段の上に、前に見たガーデン用の白い椅子とテーブルが置いてあった。
テーブルの上には前とは違う花が1輪、白くて全体的に細い花瓶に指してあった。
あなた

綺麗。

一輪の花に顔を近づけて、その花弁をじっと見つめる。
なんとも言えないような複雑な混ざりが特徴的な花だった。
荷物を下ろし、白い椅子に言われた通り腰をかける。
分かってはいたが、周りは花や草、木でいっぱいだ。
なんだろう、どちらかというと賑やかな場所も好きなんだけど…。
私は花に少し笑ってから、右手で頬杖をつく。
あなた

なんか、ここ、好きだな…

草木の番人
そう?
声をした方に振り返る。
もちろん、そこには草木の番人が立っていて、手にはトレーが乗っていた。
草木の番人
ここ気に入るとか、あんた、物好き。
あなた

え?!

私が少し驚くと、草木の番人が軽い石段に上がり、トレーをそっとテーブルの上に置く。トレーの上にはティーポットとジャムクッキーが少しと、2つのティーカップ。
あなた

あ、可愛い。

草木の番人が手にした透明なガラスのティーポットに思わず声に出てしまった。
中には紅茶が入っているらしい。

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