体が重く、熱い。
息がどんどん荒くなる。
エドワードは私の血を吸うのに夢中になっている。
それに伴い、私の視界はどんどん曇り始めていた。この身体があまり持たないせいか、もう抵抗する力も残っていなかった。
エドワードの牙が一瞬首から抜ける。
私は朦朧とする意識の中、ありったけの言葉を口にしようとした。
私は許せなかった。
けれど、それよりも、私がただのデザートの1品としてしか見られていなくて、ただそれだけの優しさに気づけなかった自分にも悔しかったし、腹ただしかった。
未だに私の、自分の事が全く見えていない。
だから、だから…まだ、
エドワードの声が痛む左耳に響くように聞こえた。
エドワードの凍ったような冷たい手が頬に触れようとする。
その時だった。
氷のように鋭く、冷たく、綺麗な声が聞こえたのは。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!