エドが大きな茶色いドアを押そうと手を添える。
『ガ…チャッ』
私の胸は高鳴っていた。だからだろうか、エドの手をぎゅぅっと握る。
私は下を向いていた顔を黙って見上げる。
エドはまた優しく笑った。
エドワードは少し低い私の背に合わせ、目の高さを合わせる。
自然と顔が近い、顔の温度が上がる。
なかなか顔をよく見て話していなかったから、分からなかったが、
陽の光に美しく反応する金髪と、色白な肌。
茶色い瞳の奥には、私がエドワードに何か惹かれるものがあった。
(…かっこ、いい。)
そう言うと、エドワードが目を逸らす。
エドワードが入った後に恐る恐る私はついていく。
最後の言葉を私は聞き取ることは出来なかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!