黒いパーカーの男の人は私と目を合わすこともせずに、すぐに後ろを向いてしまった。
その様子を見て、にっこり笑って近づいて来たのは、手前にいる制服をきちんと着こなしている男の人だった。
私は頭を同時に下げる。
すると、生徒会長らしいオーラを漂わせた彼は、ゆっくりと手を差し出してくる。
私はベルナルドの手を少し戸惑いながらも握手した。
ベルナルドの顔を見上げ、できる限りの笑顔を見せた。
ベルナルドの茶色い髪から、ふわりといい匂いがした。それは駅で香っていた、花の匂い。
ベルナルドの少し赤い目はまるでルビーのようで、でも、なんだか…なんだか…奥が一瞬濁って見えたような気がした。
(緊張する…!!か、顔、引きつってないかな(汗)。生徒会長って……かっこいいなぁ…)
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!